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近年、PHR(Personal Health Record)に注目が集まっています。
「経済財政運営と改革の基本方針2022」では、国家としてPHR推進に取り組むことが明らかになりました。また、2022年6月16日には、企業15社が集まり、「PHRサービス事業協会(仮称)」設立宣言が行われ、2023年度早期の設立を目指すとのことです。
今回は既にPHRを導入・活用している国の取り組みと日本の現状について、2回にわたりご紹介します。
エストニアのPHR体制は2009年から導入されました。全ての処方データは電子健康記録に入力されるため、エストニア国民はさまざまなオンライン医療サービスを介して自分の医療記録にいつでもアクセスできます。
また、PHRとビデオ相談プラットフォームを組み合わせることにより、いつでもどこからでも医療サービスが提供できるようになっています。
アメリカでは2004年から医療ITの導入と促進ための「医療ITイニシアチブ」が立ち上げられました。
有名な医療情報サービスの1つである「Blue Button」は、このシステムに自分の健康・医療情報を預け入れたり、ダウンロードしたりすることが可能です。アメリカ国民の約半数(1億7000万人以上)が、自身の医療データにいつでもアクセスできるようになっていると推定されています。
2016年4月時点で、Blue Buttonイニシアチブに賛同する政府機関や民間企業は約700社に上っています。
イギリスでは、国民の75%がPHRデジタルヘルスツールを利用して医療情報をオンラインで探し、50%以上が自己診断を利用しています。また、94.6%の かかりつけ医療機関では、自分の医療情報をオンラインで閲覧できるようになっています。また、かかりつけ医療機関 の登録や予約、その履歴確認、処方箋のオーダーや履歴確認などさまざまなサービスを受けることが可能です。
PHR をうまく利用することで個人の医療記録へのアクセスが容易となり、医師の業務負担の軽減、誤診の減少に繋がっています。
シンガポールでは、国として「One Patient, One Health Record(1人の患者に1つのカルテを」という理念を掲げ、2011年から全医療記録(NEHR)プログラムを導入しています。
ヘルスケアに関するワンストップポータルサイト「HealthHub」は、2015年10月から運用を開始し、政府発表によると、2017 年 1 月時点でアプリ版のダウンロード数は約84,000、ウェブサイト版の閲覧数は 約850 万にも上っています。
その中にあるMyHealthがPHRで、自己の健康情報及び医療記録の閲覧、21歳以下の子の健康情報や医療記録の閲覧・成長過程の記録、家族や友人などの第三者に自己の健康情報や医療記録の閲覧権を付与することが可能です。
自分自身の健康状態を常に把握でき、自分の健康管理を主体的に行える、急な受診や初診の際も、PHRを提供することでより安全な医療を受けられるなど、さまざまなメリットが挙げられます。