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現在の日本は高齢化率が進んでおり,65歳の人口は全体28.8%(令和2年10月)に達しました.また,救急車の出動件数は1年で660万回(平成30年)であり,約5秒に1回救急車が出動している計算となります.要請者の内訳をみると約半数は高齢者(満65歳以上)であり,今後も出動数は多くなると予想されます.
一方で,対応する救急外来の人員や医療資源は限られているため,昨今報道で耳にする「たらいまわし」などの問題が生じています.
以上より,現在の救急医療を改善するシステムの構築が必要であると考えます.
病態の重症度によって一次(軽症)から三次(重症)まで救急医療病院が指定されています.救急要請を受けた救急隊が重症度を判定し,医療機関に搬送依頼を行い,応じた医療機関に搬送を行います.
基本的に医療機関に伝えられる情報は伝聞(電話)によってのみでなされることが多いです.意識不明者の情報は取得できず,既往歴やかかりつけなどの基本的なデータの共有には時間がかかってしまい,病院の決定が遅れてしまう傾向にあります.
しかも,医療機関が決定するまでは何件か連絡を取らなければならず,搬送が終わるまでは新規の要請者は対応できないため,いち早く情報を共有し,適切な医療機関へ搬送する必要があります.
通信技術の向上したことで医療の分野でもオンライン診療など広がりを見せています.日本ではスマートフォンの普及率も8割を超えており,病歴や受診歴をアプリで管理できるサービスも増えています.こういったアプリや,生体認証,顔認証といった技術を救急医療の現場にも活用できれば,タイムロスを少なくできるのではないでしょうか.
現在の救急医療の現状と問題点,ITの利用の可能性についてご紹介しました.今後の救急医療が患者だけでなく医療関係者にも有益となるようなシステムを今後も検討したいと思います.
≪参考文献≫